電柱と電信柱
ずいほうです!
突然ですが。。。
「電柱」と「電信柱」の違い、判りますか??
一般的に電柱というのは、
主に電気を送電するもので、電力会社の持ち物。
一方で電信柱というのは、
通信を支えるケーブルなどを設置するもので、NTTの持ち物。
そしてもう一つ、「共用柱」というものあって、
送電と通信と両方の役割を1本で支えているもの。
と。今では平和的なインフラ網ですが。
最初に立ったのは「電信柱」の方です。
これは、日本が「通信網を重視していた」という
歴史的な背景から来ています。
当時、日本は欧州化の波にのまれていました。
文明開化の時代ですね。
その中で唱えられた「富国強兵」
日本が一気に軍事国家へと走り抜けていくわけですが、
そこで最も重要視されていたのが「情報」です。
情報を得て相手を抜きんでるためには、
素早くかつ正確に伝達される必要があります。
その一瞬一秒が戦局を分ける戦時下の日本では、
自分が優位な立場に立つためには「通信」が必要不可欠。
だから、「電信柱」がいち早く建てられたわけです。
さて、一番最初に敷設された電信柱はというと。
もちろん、東京~横浜間です。
横浜には、海外の船がたくさん寄港していました。
それらがもたらす外国の情報は、
当時の日本にとって、最重要情報の一つだったのでしょう。
そして明治~大正にかけて、
電信柱は「こんな田舎にも作るのか?」というような場所にまで、
ぐんぐんと敷設されていくのです。
☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡
私は、この史実を子供のころに知り、
なんて悲しい歴史なんだろうと感じたことを思い出しました。
今でこそ、インターネットを支えるのに必要なケーブルですが、
当時は日本が軍国化をする手助けになっていたわけです。
しかも、電気などの市民の生活を便利にするものよりも、
国が一丸となって戦争に向かっていくために
敷設がすすめられたものでもあります。
そしてその結末を歴史として学んだ側として、
えも言えず心がきゅっとしてしまう、感情の思い出でもあります。
何かの小説で、
「電信柱が電気もない長野の田舎にまでやってきた。」という
一説を読んだ記憶があります。
当時の人から見ても、
突然市中に何本も立ちそびえる高いコンクリート製の電線は、
なんとも不気味に映ったことでしょう。
電信柱を破壊する活動もあったそうです。
一方で、
送電線を支える電柱ができたのは、
電信柱に遅れること15年ほど。
いかに通信が重視されていたかがうかがえます。
☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡
突然にこの話を思い出したのは、
同じ用途のものでも、使い方次第では是とも否ともなる、ということが
ふと頭をよぎったためです。
包丁だってそうです。
日常的に使っている包丁も、使い方を間違えれば凶器になる。
私たちは、便利さの裏側に
とても危ういものを抱えているのではないかと思うと、
図らずともドキっとさせられます。
そしてそれは、言葉もそうなんだな、ということです。
同じ言葉でも、
相手を励ますこともできれば、
傷つけることだってある。
今では、朝日や夕日にキラキラと光る、
郷愁のたたずまいを見せる電柱と電信柱。
大好きである一方、
便利さの凶器を思わずにはいられないのです。